その人物だ――
犯人は、その人物に間違いない!!

「その人は、どんな人だったのですか?」

「うむ・・・
色白で、少し憂いを感じさせる様な雰囲気の学生だったよ。そうさね、三春中央高校の制服を着た男の子だったよ」


同じの学校の生徒――?

いや、今更驚く事もない。私の行動を把握し、監視出来るのは同じ学校の生徒しか有り得ない。

それに、机を窓から放り投げたり、階段から突き落としたり出来るのは、同じ学校の生徒しか考えられない。


「ありがとうございました」

私はそう言って深々と頭を下げると、店の出口に向かった。

「待ちなさい、1つだけ教えておいてあげよう。大事な事だよ。

韻の催眠効果なんて、たかが知れている。そんなに効果が持続する事はない。読んでいる最中か、あるいは読んだ直後か・・・ほんの短い時間。

そして、何よりも重要な事。それは、催眠効果を発動させる為には鍵が必要なのさ」