わざわざデコレーションメールで送信してくるなんて、私は遊ばれているのだろうか。

いずれにしても、この様子では、時間的な猶予は余り無いと考えた方が良いだろう。


それにしても、岸本に指示を出している人物は、一体誰なんだろうか?

しかしいくら考えても、今まで全く分からなかった事が突然分かるハズがない・・・


放課後になると、私は韻について詳しく調べる為に、あの古本屋に行った。

店内は風通しが悪い為か、相変わらず古本の湿気た臭いが充満している。私はいつもの様に、奥のカウンターに座っている店主に声を掛けた。

「こんにちは」

すると店主は顔上げ、老眼鏡越しに私をジッと見た。

「ああ、こんにちは。何か用かい?」

「あ、はい。
少し教えて頂きたい事がありまして」

「そうかい、そうかい。私に分かる事なら、何でも教えてあげよう」


そう言うと、店主はいつもの様に優しく笑った。