その時、その人物の顔がチラリと見えた――
き、岸本・・・
あれは、間違いなくクラスメートの岸本だ!!
私は慌ててベンチから立上がり、ロータリーの方向を見る。するとそこには、自転車に乗って走り去る岸本の姿があった。
私はその姿が駅から見えなくなと、直ぐに壊れたロッカーに走る。そして手を入れて、ロッカーの中を確認・・・
ある――
始発で来た直前には無かった封筒が、確かにロッカーの上側に貼り付けてあった。
岸本だったんだ。
この一連の事件の真犯人は、岸本だ!!
そういわれてみれば、最近は家庭の事情という理由で遅く登校する事があった。
いやでも・・・
これまでも、全員がこのパターンで代理人だった。その可能性は否定出来ない。もう少しだけ、気付いていないフリをして様子を見よう。
とりあえず当初の目的を果たした私は、再びトイレで制服に着替え学校に向かった。遅刻の言い訳はどうしようか・・・