早朝の駅構内は、かなり寒い。
しかも、ベンチは吹き曝しで風が冷たく、私は熱い缶コーヒーを両手で持って暖を取る。
時間が経つにつれ、徐々に駅を行き交う人も多くなってきた。しかし、誰もあのコインロッカーに近付く人はいない。
やがて、駅は学生で溢れ返る。
もう通学の時間帯になったのだ。それでも、誰もコインロッカーに近付くどころか、振り向く人もいなかった。
そして、一気に学生の姿がな見えなくなる。
時計を見ると、既に8:30を過ぎている。もう、学校が始まる時刻だ。もう・・・
学生が犯人ではないかと予想していた私は、ガックリと肩を落とす。このまま、1日中見張っていなければならないのか。
ふう・・・
これでホントに、1日中ここに座っていなければならない。食べ物を持ってくるべきだったかも知れない。
そう思った時だった――