どうしてそうやって自分を悪者にしようとするの。
あなたはあなたが思うほどひどい人じゃない。

私はあなたの答えを、まだ何も聞いていないのに。


「そんなこと、関係ない」

叫びだしそうになるのを必死で抑えた声は、低く震えていた。

「私はそうじゃなくて、夜月の答えを聞きたいの」

一歩歩み寄れば、彼の肩が怯えるように小さくなった。
これほど大きくて強い存在なのに、こんなにも弱かった。
いつだって周りの意見を受け入れるばかりで、本当の思いは心の奥に押しやってきた。

そうやって彼は今まで、生きてきたんだ。
蔑まれながら、疎まれながらそれでも彼が音を紡ぎ続けてきたのは、彼の懸命な抵抗だった。

何があろうと、これだけはやめないと。


「夜月、答えて」

皆の意見が枷になるのなら、私がそれを取り払うから。
だから私は、もっと近くであなたの音を聴きたい。


「私は夜月が好き、大好き。…あなたは?」