自分の中のその想いに気付けば、背筋に寒気が走った。 私は、なんてことをしようとしているんだろう…。 「嫌だ…」 彼の苦しい顔は見たくない。 この想いが報われなければ、私にとってあの音はもう何の輝きも持たなくなる。 それでもまだ、好きだと言えるのか。 私の頬を紅葉がかすめる。 足下に色を増やしたその葉を見て、喉の奥が急速に渇いた。 視線を巡らせて目に付くのは、私の視界に映るのは、たくさんの赤。 今この瞬間それを知った。 どんなに鮮やかな黄色より、私は…―― 。