「すいません!」


酔っ払ったサラリーマンが増えるこの時間。
店先の植木鉢を倒されることはよくあった。


「気にしないでください。」

そう言ってホウキとチリトリを取りに行く。

店では後藤さんが電話で注文をうけていた。



「いったぁ…」


鉢の破片が指に赤い線を引いた。

ぽたぽた。


綺麗なドレスに身を包むホステスさんの足下に這いつくばって。

汚れてもいい服に,無造作にまとめた髪。

手にはチリトリなんか持っちゃって。


指は痛いし。








なんか,みじめやなぁ…。















「大丈夫?」





10月最後の少し肌寒い夜。


暖かい手が差し延べられた。