* * *


「あとは…白斗たちと過ごしてきた通りだよ。
王宮に保護されて、平和に暮らしていた。」



なるべく感情を押し殺すように話してきたつもりだったけど、目の前の星来はその瞳に、零れてしまうほどの涙を浮かべていた。



「ごめんね。辛い話を聞かせちゃって…。」

「ううん…あたしは…辛くない…。
緑志の方が…辛い…。」



そう言って涙を拭う星来。
白斗が前に言っていた意味が分かったような気がした。



『星来はいつでも自分が欲しいと思っている言葉をくれる。』



確かに…そうかもしれない。
こうして…泣いてくれる存在がいるってことが、どこか僕の癒しになっているような気がする。



「アメ…に隠された魔法だったんだ。」

「アメ…。」

「これだよ。」



僕はポケットからアメを取り出した。



「アメなのに…溶けたりしないの?」

「魔法がかかってるからね。
でも今は…。」



僕はアメをぎゅっと指で押し潰した。
ボロボロと零れ落ちるアメ。



「効力が無くなったから、壊れた。」