「蒼刃の記憶が…戻る?」

「そう。いや…厳密に言えば、『正しい記憶が蘇る』かな。」

「蘇る…。」

「蒼刃の記憶の大部分は正常だよ。
星来の記憶喪失とは全然違う。
だから厄介で、怖い。」

「どういうこと?」

「蒼刃の記憶はね、母上によって『操作』されていたんだ。
ごく一部分だけ。」

「それって…。」

「この国の『最期』の記憶だけ…ね。」

「じゃあさっき、蒼刃があんなに苦しがっていたのは…。」

「おそらく、正確な記憶が流れ込んできたからだと思う。
蒼刃の記憶と僕の記憶じゃ、とても食い違っていたから…。
…耐え切れなくて、気絶した。」

「どんな…最期だったの…?」







5年前のあの日。
イアルとセリユがこの国に現れた日。



僕たちの両親は確実に死んだんだ。

国よりも…僕たちを守るために。