【緑志side】


ある意味…『兆候』が現れていると言えなくもない。
本人でさえ気付かない、記憶への『警告』

僕は…やっぱり怖い。
蒼刃が壊れてしまうことが。

壊れると決まったわけじゃない。
何が起こるのか分かっているわけじゃない。
だけど…


僕も蒼刃と同じだ。


胸騒ぎがする。
『何かが起こる』
そんな予感がする。

その胸騒ぎだけは僕と蒼刃、二人に共通している。



「お前はもう降りたのか?」

「…いや。まだだよ。」

「…なんなんだろうな。
自分の故郷の地を真っ先に踏みたいはずなのに、立ち竦むこの感覚。」

「そうだね…。」



曖昧な相槌さえ、上手く打てたのか分からない。
でも、僕は決めたんだ。

どんなに辛いことが待ち受けていたとしても…進むと。