勇太はパワーがあり走るのが速く、ボールを持って走って良し、パスを受けるのも上手くて万能選手であった。

クォーターバックの真は、相手チームが強くて作戦が上手く機能しない時などは、よく勇太に頼ったものであった。

勇太が少々照れながら

「お婆ちゃんたちの話は由紀さんと理絵から、よく聞かされていて、耳がタコです」

と言って、彼女たちを笑わせた。

話をしていると、あっという間に三十分が過ぎて、香川のお婆ちゃんが時計を見て

「あらぁ、もう二時半よ。そろそろ出発しないと遅くなるわよ」

とみんなに告げて、次の二十五番津照寺へ向かって、由紀たちとお婆ちゃんたちは、それぞれの車に乗り込み出発した。

六人は二十五番と次の二十六番金剛頂寺を打ち終え、今夜泊まる予定の馬路温泉に向かい、途中でモネの絵画そっくりの庭がある施設を見学しようと思っていたのだが、時間が遅くなったので、立ち寄るのを諦めて車を走らせた。

夕暮れの中、くねる山道を走り、午後六時前に、ようやく馬路温泉に到着して、六人は宿に入った。

先に入浴を済ませて、みんな集まり食事をしようとすると、大阪のお婆ちゃんが

「二年前は、大変だったわよねぇ・・・そういえば、みんな自己紹介もしていなかったし、それぞれ自己紹介しようか」