由紀たち三人が、声が聞こえてくる方向へ振り向くと、お婆ちゃんたちが手を振りながら、こちらへ向かって歩いて来るのが見え、由紀と理絵が同時に手をふりながら

「お婆ちゃ~ん」
と叫んだ。

すぐに由紀と理絵は、お婆ちゃんたちの方へ駆け寄って行き、抱き合って再開を喜んだ。

後からついて来ていた勇太は、にこにこと微笑みながら、その光景を眺めている・・・

お婆ちゃんたちの目には涙が溜まっている。

そして由紀と理絵は堪らずに涙が零れている・・・

徳島のお婆ちゃんがハンカチで目を押さえながら、勇太に気がつき

「あなたが勇太さん」

と訊ねると、勇太はお婆ちゃんに手を差しのべて

「初めまして、勇太です」

と答え、握手をした。

三人のお婆ちゃんは

「立派な体格をしているわねぇ」
とか

「本当、いい体つきをしているわねぇ」

と言いながら、次々と勇太と握手してゆく。

勇太は学生時代に、直と同じアメリカン・フットボール部に所属していて、レギュラー選手でタイトエンドをしていた。直は最上級生の時に主将となり、クォーターバックをしていたが、レギュラー選手では無く、控えであった。

直の考える作戦は、よく成功していたのであるが、実際にゲームに出場するのは基礎体力に勝る同級生の田中真が多かった。