理絵が二年前に、巡礼の途中の室戸岬で負った、足首の骨折で入院していると、まず勇太が帰ってきた。

そして退院してから、しばらくすると今度は直も帰ってきた。

由紀と理絵は、巡礼中に直と勇太の無事を祈ったおかげだと喜び、直と勇太に八十八ヶ所巡りをした時の話をしたのだった。

そして年が明けると、直が郁江を連れて来て、二人は結婚をするつもりであると打ち明けられ、聞かされた由紀と理絵は突然であり、驚いた。

そして二人は五月に結婚式を挙げ、その年の秋の初めには理絵と勇太が結婚をした。

とても、めでたいことが続き良い年となったのであるが、そのかわりに一緒に八十八ヶ所巡りをする、お婆ちゃんたちとの約束を守れずに、今年に延びたのだった。

本当は、お婆ちゃんたちと一番札所から一緒に巡りたかったのだが、一番札所に集まる予定日に、今度は大阪の、お婆ちゃんの姪が結婚式を挙げ、三人の、お婆ちゃんたちの出発が由紀たちよりも二日遅れたのだった。

由紀たちは、巡礼の途中で、以前の歩き遍路の時に地元の人から教えてもらい、見たかった高越山の頂上付近に生えている、つつじの大木の森を見に行った。

その時に二十キロほど吉野川を上流に行った所に、日本一の楠の大木が生えているのを聞き、高越山近くの奇景、阿波の土柱や楠の大木を見に立ち寄ってみたりしながら札所を巡り、室戸岬まで来たのだった。

そして由紀たちから二日遅れで出発した、お婆ちゃんたちが追いついてきて、この室戸岬燈台で午後二時に待ち合わせをしているのである。

「理絵ちゃ~ん」
「由紀さ~ん」