駐車場から山頂にある神峯寺に向かって、階段を上っていると理絵の後ろを歩いていた芙美子お婆ちゃんが、理絵が突いている金剛杖を見て、
「理絵ちゃんの杖、なんだか古そうねぇ。由紀さんの杖はそんなでもないのに」
と由紀の金剛杖と見比べて言ったので理絵は
「実は、私の使っている杖は、御蔵洞で気を失って、明け方、気がついて出ようとした時に見つけた杖なの。病院から退院して自宅に戻ってみると、お母さんの使っていたのと私のと、この見つけた杖の三本があったの。たぶん誰か、私の物だと思った人が、荷物と一緒に届けてくれたのだと思うのだけれど」
と杖を見ながら言い、続けて
「その時に、この杖、どうしたらいいのかと思いながら見てると、手元の所に薄くて見辛いのだけれど、父の名の宏って書いてあるのに気がついたの」
と字の書いてある場所を見せて
「ここなの」・・・
「お父さんがね・・・」
理絵は首をかしげながら
「お四国巡りに来たという話は聞いたことが無いのだけれど・・・でも出身は四国だったから、来たことがあったかも知れないし・・・」
「何となく、お父さんが使っていた杖のような気がして・・・」
みんなは立ち止まって、理絵の使っている杖を見ている。芙美子お婆ちゃんは
「それで、その見つけた杖を、そのまま使っているという訳なのね」
理絵は
「そうなの、この杖を使っていると、傍にお父さんが居るみたいな気がするの」
「理絵ちゃんの杖、なんだか古そうねぇ。由紀さんの杖はそんなでもないのに」
と由紀の金剛杖と見比べて言ったので理絵は
「実は、私の使っている杖は、御蔵洞で気を失って、明け方、気がついて出ようとした時に見つけた杖なの。病院から退院して自宅に戻ってみると、お母さんの使っていたのと私のと、この見つけた杖の三本があったの。たぶん誰か、私の物だと思った人が、荷物と一緒に届けてくれたのだと思うのだけれど」
と杖を見ながら言い、続けて
「その時に、この杖、どうしたらいいのかと思いながら見てると、手元の所に薄くて見辛いのだけれど、父の名の宏って書いてあるのに気がついたの」
と字の書いてある場所を見せて
「ここなの」・・・
「お父さんがね・・・」
理絵は首をかしげながら
「お四国巡りに来たという話は聞いたことが無いのだけれど・・・でも出身は四国だったから、来たことがあったかも知れないし・・・」
「何となく、お父さんが使っていた杖のような気がして・・・」
みんなは立ち止まって、理絵の使っている杖を見ている。芙美子お婆ちゃんは
「それで、その見つけた杖を、そのまま使っているという訳なのね」
理絵は
「そうなの、この杖を使っていると、傍にお父さんが居るみたいな気がするの」