エリサは仕事があり、サンフランシスコへ戻らなければならないので、スティーブは空港までエリサを見送った後、連合本部に来た。

連合本部には宇宙戦闘機の開発に携わる技術者や科学者、それに軍の関係者も居る。

スティーブは五日前に李総長に宇宙戦闘機のテスト飛行の結果報告に、連合本部を訪ねた時に、今後の行動計画について、うちあわせをした科学者に面会した。

そして自分が無機物生命体と戦闘を行なった時の状況や搭乗機が墜落した位置などが知りたくなったので、その時の資料があれば、見せてもらえないかと頼み込んだ。

科学者は、今までに何度か連合本部に来ているのに、どうして突然に調べたくなったのか訊ねたので、スティーブは宇宙戦闘機の開発中は、宇宙戦闘機の製造工場か訓練センターで、話し合いや、うちあわせ、あるいは戦闘機の構造を教えてもらう機会が多くて、連合本部に来ることは、あまり無かったし、来る時には、あらかじめスケジュールが、きっちりと組まれていて、調べる余裕や時間が無かったのだと説明して、了承を求めた。

科学者は、だったら五日前に来た時に調べれば、よかったのにと、ややいぶかるように言ったが、五日前は同僚のケイトが一緒に行動していたし、ここ数日間は、久し振りの休暇であり、友人との会食や予定が詰まっていたのだと話した。

無機物生命体との戦闘の資料は今まで外部者に、閲覧させたことは、未だ無いのであるが、科学者は

「君は、これまでに充分貢献してくれているし、確かに自分自身が、どのような戦闘状況で、どうなったのかという理由を知りたいと思うのは当然でしょう。どうぞ、ついて来て下さい」

と言って、資料の保管してある場所に案内してくれた。