明日は、二十七番から二十九番までお参りしてから、天文台の備わっている梶ヶ森山荘で泊まり、星を見る予定にしているのである。

お婆ちゃんたちは二年前に一度、梶ヶ森で泊まり、天文台から星を見ている。大きな天体望遠鏡で星を見たのは、この時が初めてであり、感激して、もう一度見たいと思っていたのである。

由紀や理絵も、プラネタリュウムでドームに映る星を見たことはあるが、本物の天文台で星を見たことは無く、非常に楽しみにしている。

勇太も、宇宙船のパイロットであり、天体の勉強はしているし、星に関しては、とても詳しいのであるが、天体望遠鏡での実際の観察の経験は、そう多くは無く、他の人と同じ様に楽しみにしている。

全員が、晴れの天気が持ってくれるのを祈った。


翌日、山上に建っている二十七番神峯寺へ向かう途中の上り坂が急で、車で上っていてもギアがロウギアまで落ちていく。

山頂近くの、二十七番の駐車場に車を止めて、運転をしていた勇太が車から降りた時に、お婆ちゃんたちに、ここまでの急な上り坂は、車で上っていても、きついと告げると、真知子お婆ちゃんは

「ここは、真っ縦と呼ばれていて、土佐では最も苦しい札所なの。車道はジグザグにカーブしながら上ってくるから、まだましなんだけど、昔からある遍路道は歩いて上ると、途中で崖を上る感じで相当きついらしいの」

話を聞いていた由紀が

「車で良かったわ。歩いてたら明日は筋肉痛でトイレも行けなかったわ」

と言ったので、理絵が以前の歩き遍路の時の、十二番への道のりと、そこから翌日、二人とも激しい筋肉痛で苦しみながら下った時のことを思い出した。