みんなは、お腹が空いたので、さっそく食べようと、川原に座り、弁当を広げて、さあ食べようとした時に、ふと由紀が川の流れている方向を見ながら言った。
「ここ・・・人食いアメゴいないわよねぇ」
この言葉に、まさに口を開け、食べかけようとしていた全員がずっこけた。
他の人は、人食いアメゴの話など、気に掛けていず、とっくに忘れてしまっていたが、怖がりの由紀は、しつこく覚えていたのである。
勇太が咄嗟に
「大丈夫ですよ。さっき山道を下りてくる時に、途中で川が見えたけど、そんな人を食うような大きな魚の影は見えなかったですよ」
と言うと由紀は
「そんな高い所から見えるような大きなのがいるの」
と訊き返す。
そんな人間を食うようなアメゴが存在する筈も無く、ばかばかしい話であるが、意外と由紀は真剣そうに言うので、勇太は困ってしまった。
そこで理絵が
「ためしに私が覗いてきてあげるよ。居るわけが無いけどね」
と言いつつ立ち上がろうとすると、由紀は
「だめよ、理絵は新婚だし、もし食べられたら大変よ」
と理絵が見に行こうとするのを止めると、紀恵お婆ちゃんが
「ひょっとして、先の短い私たちに行けということかしら」
と言ったので、由紀は慌てて
「そういう意味じゃないの」
と手を横に振りながら言い、少し離れた所を流れている川を見て
「魚は水が無いと息ができないし、これだけ離れていれば大丈夫よね。ここまで来るのは不可能だわ」
と言って、弁当を食べ始めた。
「ここ・・・人食いアメゴいないわよねぇ」
この言葉に、まさに口を開け、食べかけようとしていた全員がずっこけた。
他の人は、人食いアメゴの話など、気に掛けていず、とっくに忘れてしまっていたが、怖がりの由紀は、しつこく覚えていたのである。
勇太が咄嗟に
「大丈夫ですよ。さっき山道を下りてくる時に、途中で川が見えたけど、そんな人を食うような大きな魚の影は見えなかったですよ」
と言うと由紀は
「そんな高い所から見えるような大きなのがいるの」
と訊き返す。
そんな人間を食うようなアメゴが存在する筈も無く、ばかばかしい話であるが、意外と由紀は真剣そうに言うので、勇太は困ってしまった。
そこで理絵が
「ためしに私が覗いてきてあげるよ。居るわけが無いけどね」
と言いつつ立ち上がろうとすると、由紀は
「だめよ、理絵は新婚だし、もし食べられたら大変よ」
と理絵が見に行こうとするのを止めると、紀恵お婆ちゃんが
「ひょっとして、先の短い私たちに行けということかしら」
と言ったので、由紀は慌てて
「そういう意味じゃないの」
と手を横に振りながら言い、少し離れた所を流れている川を見て
「魚は水が無いと息ができないし、これだけ離れていれば大丈夫よね。ここまで来るのは不可能だわ」
と言って、弁当を食べ始めた。