六人は、宿を出発して四十一番龍光寺に向かって、国道五十六号線を北上する途中で見かけた道の駅に立ち寄っている。

道の駅では、ちょうど朝の取れたて市が開かれていて、今朝、取れたばかりの新鮮な魚や野菜などが所狭しと並べられている。

並べられている魚の種類が豊富である。

由紀が、その魚をひとつ、ひとつ覗き込みながら見てゆく。

「さすがに釣りのメッカだけあって、いろんな種類の魚が並んでいるわねぇ。どれもこれもおいしそう・・・刺身でもいいし、煮つけでもいけるわね。これなんか塩焼きにしたら旨いわよ。どれがいいかなぁ」

朝食を食べてから、さほど時間も経っていないのに、由紀は、まるで品定めでもするかのように見て回るので、理絵が

「お母さん、魚を買って食べるつもりなの。お参りの途中なのに、そんなの無理だよ」

と言う理絵の言葉を聞いているのか、いないのか

「おいしそうな鯵だわ。南蛮漬けもいいわねぇ」

と言いながら、じっくりと見てまわっている。

少しずつ移動しながら見ていっていると突然

「そういえば、こんなに魚が並んでいるのだから、ひょっとするとアカメもあるかも知れないわねぇ」
と呟くと、店の人に

「人食いアカメとか言うのありますか」
と訊ねた。

店の人は、それって何・・・といった表情をして
「人食いアカメ・・・」