ダチの蓮にまでヤキモチ妬くって……
ヤバいだろ…俺……。
………でも
気になるものは気になる…。
「何、話してんだよ。」
楽しそうに笑う蓮にきいた
「あぁ―それはな……」
「ストッ―プっ!!」
「ふごっ!!」
蓮が話そうとしたとたん、花音が蓮に飛び付き、口を塞いだ
「ダメっ!絶対言っちゃダメっ!!」
必死に蓮の口を塞ぐ花音
「いいじゃん♪言っちゃえよ♪」
「ダメったらダメ―っ!!」
仲良さそうな2人
それから帰るとき、ずっと花音は蓮を見ていた
頬を赤く染めて……
もしかして……
もしかして…………
花音の好きな奴って……
「ねぇ―」
まさか……
「ねぇ!!」
「っあっ!?何?」
「何、じゃなくて話し聞いてた?」
いつの間にか蓮たちと別れ、家の近くまで来ていた俺たち
ここで聞いてないって言ったら、確実にキレるよな?
前からよく話し聞いてないとかって注意されてきたし…
「………あぁ―いいんじゃない?」
「ほんと♪」
おっ……
花音が珍しく俺に、満面な笑みを向けた
やばっ……
嬉しいかも……
「んじゃ、行こっ」
「……へ?どこに?」
「どこにって棗の部屋に決まってるじゃん」
へ…や……?
部屋……?
部屋――――っ!!?
「飲み物、取ってくる」
「あっ…ありがとう。」
ドアが閉まり、階段を下りる音を確認して深く息をはく
うわぁぁ―…
どうしよう―……
まさかいいと言うなんて思わなくて……
に、しても………
広〜い!!
小さい頃の遊びは大半リビングか庭だったからな―…
高校生になってから、棗の部屋に入ったのは初めてだ……
シンプルに黒でまとめられている
たくさん難しそうな本が並んでいて、見てるだけで頭が痛くなりそう…
その時ドアが開いた
「アップルジュースでよかったよな?」
「へっ?」
トレーにグラスとジュース、そしてケーキを持ってきてくれた棗
「へ?ってお前アップルジュース好きだったよな?」
「う…うん……。」
覚えててくれたんだ……。
こんなことで凄く嬉しく感じているあたし
棗がグラスにアップルジュースをついでくれる
「「…………」」
何も話さないあたしたち
聴こえるのはジュースの注がれる音だけ……
いつものあたしたちなら、あり得ないんだけど!!
こんなに意識しちゃうのも、きっとさっきの蓮の言葉のせいだっ!!
――『それに…そんなこと言っちゃ、棗に嫌われるぜ?』
耳元でボソッと囁いた蓮のセリフが思い出される
もぉ―…、蓮のバカ……
一体何を、話せばいいのよ……?
無駄に冷や汗が出てくる……
何か、何か話さないとっ!
「ねぇ!」
「あっ…なに?」
「早く…しよ?」
「へっ?!」
なんでそんなにビックリしてるの……?
「英語……」
「英語?」
なんでそんなキョトンとしてるわけ?
「英語教えてくれない?って言ったじゃん!!」
「あっ…あぁ―…そうだったな」
この反応……
「もしかして…聞いてなかったとか……?」
「いや。聞いてたに決まってんだろ。」
怪しい……
この焦りよう……
「聞いてなかったのね―っ!!」
棗目掛けて飛び付き、頭を叩く
「ちょっ!痛いって!!」
「聞いてないそっちが悪いんでしょ―!」
前から棗は人の話しを聞かない、悪いクセがあった
「痛っ!痛いって!花音ストップ!!」
そう言ってあたしの手首をギュッと掴んだ
「ったく……。お前手加減くらいしろよな―…」
「だって、話し聞かない棗が………」
っッ!!
手首を掴まれて棗との距離が凄く近い
棗も見つめ合ったまま動かなくなった
聴こえるんじゃないかと思うくらい、ドキドキ鳴る胸
時間が止まったように動けなくなる……
「……………え、英語するか…」
そう棗が言って、手をパッと離し机に向き直す
「あっ…うん//」
あたしも赤い顔を隠しながら、向かい合うように棗の前に机を挟む形で座った
やっ…ヤバかった――っ!!
こんなんじゃ、心臓もたないよ――っ
それからギクシャクしたまま、英語の宿題をこなした
「終わった――!」
「お前、本当バカすぎ。普通こんなに時間かかるか?」
「なっ!悪かったわね!バカでっ!!」
なんかいつもの調子取り戻してきたかも……
「でもこれで今日みたいな恥かかなくてすむよ。ありがと♪」
「おっ…おぉ―//」
あれ?なんか……
「顔赤くない?」
「えっ!イヤ。ちょっと暑いかな―って。つ―かお前が礼を言うなんて貴重だな。」
はあ?
せっかくこっちは素直に言ったのに!!
その時、チラッと棗のカバンから薄いピンクのような封筒が見えた
あれって……
ジィ―とカバンを見てるあたしに気づいたのか、カバンをバッと閉じた棗
「い…いや。あれは……」
この焦りかた……
「……ラブレター?」
自分らしくない、暗く小さな声で棗に聞いていた
「いや…その……」
やっぱりラブレターなんだ……
なに今さらショック受けてるの…?!
棗が人気あるのは前からでしょ!
そう自分に言い聞かせた
それがあたしの精一杯の強がりだから……
「……棗は…、彼女、作らないの?」
えっ……
あたし、何聞いてるの?!
………でも知りたい…。