「………」
「な…棗?」
「しっ…黙って。」
「っっ///」
「…………はい。目、開けていいよ」
「えっ?」
もう?って感じで俺を見てくる
「首元、見てみぃ?」
「へ?首?」
花音が自分の目線を下に向けて、一瞬停止する
「こっ、これって?!さっきあたしが見てた、ネックレス?!」
「そっ、初デート記念にプレゼント♪」
「嘘っ!」といいながら、嬉しそうに喜んだ花音
「初デート記念がチケットの半券っていうのは、さすがに男が廃るしな♪」
なんて言ったけど、本当は俺があげた物を身につけていて欲しかったんだ…
俺のものっていうしるしに……
……俺ってやっぱり独占欲強すぎかな?
「嬉しい。ありがと♪」
やっぱり可愛い…。
ほんのり赤くなった頬、柔らかい唇
クリッとした瞳が俺を見つめる
そっと花音の頬に手をやりキスをしようとした……その時
「スト―ップ!!」
口元を手でガードする花音
は?この流れで普通止めます?
「その前にあたしも…」
バックをごそごそし始めた
「はいっ♪」
そう言って綺麗に包装された包みを俺に手渡してくる
ん?
包装を綺麗にはがし、中のものを取り出す
「っ…これって……」
「あのっ…棗に、似合うかな―って思って…」
これまた同様、さっき花音に聞かれて答えた方の、黒色のペンダント
「…俺に?」
「ふふっ。棗意外に誰にあげるのよ」
柔らかく笑う花音があまりにも可愛くて、そのまま抱きしめるようにして押し倒した
「ありがと。大切にする」
「あたしも、毎日身につけるね」
そう言って、どちらともなく、唇を重ね合わせた
そして、そのまま胸の膨らみに触れようとした瞬間
「えっ…ちょっ……棗。晩御飯!」
焦り始めた花音
でも俺が止まるわけもなく……
「いいから。先に花音が喰いたい」
「っっ///で、でも昼食も食べてな…」
「しっ…もういいから黙って?」
唇を人差し指で軽く押さえ、キスをした
「んあっ…はあっ……」
行為が進むにつれ、甘くなる花音の声
花音の首元で揺れるネックレスを見ると、自分のものと言う嬉しさが湧き出てくる……
ヤバい……今日、加減きかないかも……
………そのまま、花音が夢の世界に落ちるまで、何度も…何度も、花音を求めた
「………ん…っ」
温かい感覚に包まれながら目が覚める
あっ…棗……
ずっと抱きしめてくれてたんだ―……
ゆっくりと頬に手を伸ばす
やっぱりカッコいいよなぁ―…
綺麗に整った顔に、改めて惚れ惚れとしてしまう
頭も良くて、スポーツ万能で……完璧なこの人があたしの彼氏なんて……
今でも少し信じられない……
「……見すぎだろ」
「えっ…ひゃっ!」
パチッと開いた目に驚き、頬を触っていた手を引っ込めた
「おっ…起きてたの?!」
「あんなに視線感じて、逆に寝てる方が凄いだろ?」
クスッと笑みを浮かべる棗に対して、そんなに見てしまっていた自分が恥ずかしくて、頬が熱くなるのを感じた
「見とれてたの?」
イタズラっぽく笑う棗
「……うん」
「へっ?!」
「えっ?!///」
い、今、あたし何て言った?
そりゃ―見とれてたけど、こんな素直に頷いちゃうなんて…っ
「イヤ―…そのっ……」
うぅ〜〜恥ずかしぃよ〜///
赤い顔を隠すためにうつ向くしかないあたし
「ヤバい…っ…」
「……へっ?」
――ドサッ
「キャぁっ!!」
肩を押さえつけられ、ベッドに押し付けられた
「ちょっ!ちょっと棗?!」
「花音が悪いんだからな。そんな可愛いこと言うから…」
「なっ///んっ……//」
強引に奪われる唇
でも奪われたわりには優しいキス……
そんな、優しいキスに溺れながら、あたしたちはまた、甘い世界に落ちていった
―――――――――………
「ッたぁ―……」
昨日は結局、朝から棗が離してくれなくてほとんど1日をベッドの中で過ごした
やっと離してくれたのは、昼過ぎ
棗のおじさん達が帰って来なかったから、よかったものの……
一晩泊まった上に昼過ぎまでベッドで過ごすとは……
そう言えば最近、棗のおじさん達見てないなぁ―…
忙しいのかな……?
なんて考えながら、制服に着替える
今日から学校。
痛んでいる腰をさすりながら準備をし、朝食をとった
「じゃあ、お母さん。行ってくるね―♪」
「あっ…花音!」
玄関を出ようとした瞬間に呼ばれた
「なに?」
「あの…」
ちょっと視線をあたしから反らして、またすぐにあたしをじっと見つめた
「…一昨日は本当に美羽ちゃん家に泊まったのよね?」
「………え?」
突然言われた言葉に戸惑った
棗の家に泊まりにいくとは言わずに、美羽の家に泊まるって嘘をついて出掛けたあたし
「あっ…やっぱり何でもないわ。美羽ちゃんにちゃんとお礼言っときなさいよ」
ニッコリ笑うお母さん
「うっ…うん。」
あたしはそれだけ言って家を出た
………バレてる?
美羽の家に泊まってないこと?
でも、あの辛そうな顔は何だったの?
何であんなに……
「花音。」
「あっ、棗……」
いつものように待っていてくれる棗
「ん?どうした?元気なくねぇ?」
顔を覗きこむようにして、屈んでくる
「えっ!?そんなことないよ。」
「ふぅ―ん。ならいいけど」
やっぱり、そろそろお母さんに棗と付き合ってること話そうかな……?
そうした方がいいだろうし…
「なんだ―…てっきり昨日、シすぎで疲れてるのかと思った♪」
フッと笑みを溢しながらあたしを見る
「ッツ!棗〜〜っ!」
それから笑いながら逃げる棗を追いかけて学校に向かった
「はぁ―…はぁ―…はぁ―…」
「あっ、花音。今週までだったよな?昼休みの保健委員」
息切れしているあたしに対して、全く平気な顔を棗が向ける
なんか悔しい……
「ほら、何止まってんだよ。教室行くぞ」
「う……」
「花音〜っ!」
――バシッ
っッツ!!
いきなり叩かれた腰
「あれっ?♪そんなに強く叩いたつもりはないん……あぁ♪そっかぁ〜」
ニヤニヤ笑いながら美羽が話す
「そっかぁ〜―。そんなに激しかった……」
「それぐらいにしといてやれ」
救い船を出してくれたのは蓮
「えぇ〜だって花音、からかうの楽しいんだもん♪」
だもん♪じゃないでしょ!
「まぁ、確かにその様子だと、1日離してもらえなかったみたいだし―」
「なっ、なんだよ」
ジトーとした瞳で棗を見ながら言った
「ちょっとは手加減してやれよ?最近まで花音、処…」
「蓮っ!」
「あぁ、悪い」
絶対悪いなんて思ってないでしょ!
美羽と蓮って、やっぱり危険人物だ……
「あっ、ほらチャイム鳴るよ。」
そう美羽に言われ、急いで教室に走った
「花音ちゃ〜ん」
ゔっ…この声は……
「隼人くん。」
休み時間になり、教室に入ってきた隼人くん
「お前、何しに来たんだよ」
グイッとあたしを引き寄せた棗
明らかに嫌悪な空気
「俺は花音ちゃんに会いにきたんだけど〜」
「お前、諦めたんじゃないのかよ!」
「認めてはいるけど、諦めるなんて一言も言ってない♪」
にんまり笑顔を向ける
「はあ?ふざけんな!」
「はい、はい。わかってるって。もう花音ちゃんとは友達だから」
ん?友達?
「まぁ―そうだね?」
「はあ?何、花音認めてんだよ!」
えっ?
「いぇい♪じゃあ花音とは友達な♪」
「花音って呼ぶなって言ってるだろ!!」