「花音…。」
――グラッ
体重を花音に掛けると、容易くベンチに倒れた
「えっ!ちょっ!棗っ!?んん゙っ!!」
深く深くキスをする
「なつ…めっ…」
キスの途中で漏れる声が、俺の理性を崩しかける……
「……花音」
「棗……」
視線が絡み合う
「………よしっ!帰るか!」
「……へっ!?」
「なぁ―に。もしかして期待した?」
「ちっ!違うからっ//」
そんなに真っ赤になってたら否定してるとは思わねぇぞ……
「もぉ!帰る!!」
先にどんどん歩き出す花音
本当はすぐにでも、花音の全てが欲しかった
ヤバかったのは俺の方だ……
でも、大切なやつだから…
だから…花音の心の準備が出来るまで待つ
そう決めた………
――――――――――……
「花音ちゃ―ん!」
「もぉ!しつこい!!」
ずっとこの調子…
昼休みに来るこいつ…新地隼人
この前の合コンのメンバーで花音の肩に腕を置いていた張本人!!
馴れ馴れしくしやがって!!
「そろそろ帰れば?」
「棗っ!」
言い合いをしている花音を俺の方に引き寄せた
「棗くん、だよね?花音ちゃんの彼氏の?」
「そうだけど。」
ってか花音ちゃんって言うな!
「ふぅ〜ん。」
なんだよ…その目は……
「じゃあ俺、教室帰るね。」
そう言ってニッコリ花音に笑いかけた
さっさと帰れ。
「あの…棗………?」
「あ?」
「その…そろそろ離して///」
あっ……
さっきあいつから引き離すために抱き寄せたから、つまり今は花音を後ろから抱きしめてる状態
クラスメイトからの視線が恥ずかしいのか、真っ赤な花音
おもしれぇ―
「花音は離れたいの?」
「イヤ…そうじゃなくて……って違―う!!」
俺の腕からもがき、抜け出した
チェッ…仕方ねぇか。
なんか可愛いしな♪
「花音ちゃ〜ん」
また来た……
なんかあの子に似てる…紗月ちゃんに……
このしつこさ!
あの時の合コンから付きまとってくる傘男
「なに。」
来るなオーラを出しつつ、返事をする
「うわっ。冷たっ!」
当たり前でしょ!
「で?何なの、毎日。」
本当にしつこすぎ!
「だ―か―ら〜、デート」
「しないっ!!」
「返事早っ!ちょっとくらい悩んでよ―」
悩む必要ないし!
あたしには棗しかいないんだから!
「花音ちゃんガード固くなったよね―。合コン以来…」
「えっ!?////」
フラッシュバックするあの日の光景
ベンチに座り、押し倒されて……
っっ////
「あれ?何赤くなってるの―?」
「べっ!別に!!」
恥ずかしい―…
あの時はなんかあたしじゃないみたいで……
だってあたし、あの時…
あのまま棗を受け入れてもいいって…思っちゃってたんだもん………
あたし…おかしいのかも……
もっとって……
もっと触って欲しいって…、棗を求めていた………
「……ちゃん!花音ちゃん!!」
「ほえっ!?」
「ほえっ!?じゃない!俺の話し聞いてた?」
ムスッとした表情であたしを見る隼人くん
「はあぁ―…。あの時は簡単に肩抱かせてくれたのに、今は……」
「あっ!あれは!!」
いっ…言えない……
だって………
「棗くんのこと考えてたんでしょ?」
「っえっ!!」
つい喋ってしまったのかと思った……
「なんだ。的中か―」
っっ…///
だって…棗と紗月ちゃんのことが気になって、気になって……
他のことなんて、考えられなかったんだもん……
「んで?いつも邪魔してくる棗くんは?」
邪魔…?
「棗なら職員室に呼ばれて…あっ、帰ってきた」
教室に戻ってきた棗の姿
チラッと目が合ったかと思いきや、一気に不機嫌な顔を向けこっちに歩いてきた
えっ…?!
なんで怒ってるの?!
「花音…」
「な…っ、棗……?」
――グイッ
うわっ!
引っ張られ、すっぽり棗の腕の中に収まってるあたし
あっ……
またいつものパターンね?
「お前!花音に近づくなって言っただろ!」
「約束はしてないし♪」
また始まった…。
2人の言い合い……
………でも
不謹慎なのかな……?
棗にヤキモチ妬かれるのが嬉しいなんて…。
だっていつも妬いてるのはあたしばっかりだと思ってたから……
だから……、うんっ。
やっぱりなんか嬉しいな♪
「…で。花音は何ニヤけてるわけ?」
腕を緩め、あたしを覗き込むようにして見てきた棗
「えっ!」
あっ、あたしニヤけてた?!///
「あっ、あの…、隼人くんは?」
とにかく今は話題を代えよう!
「帰らした。」
「そ、そっか……」
「…で、ニヤけてた理由は?」
ゔっ……
やっぱり聞くのね……?
「べっ、別にニヤけてなんか!!」
「あの顔をニヤけてる意外になんて言うんだよ」
あの顔って!//
そんなに分かりやすくニヤけてたの?!あたし!?
「と、とにかく!!何でもないの!何でも!!」
「ふぅ―ん。あっそ。」
あれ?なんか棗が素直?
もっと粘るかと思ってたのに……
「おい。席、戻るぞ。」
「あっ、うん。」
まぁ、よかった♪
「あっ、そうだ…」
「ん?どうしたの?」
「知らなかったな。花音がエロいなんて♪」
そう耳元で言って、意地悪そうに微笑み席へ歩き出す
「ッツ!///」
不意討ちのその行動に、全身の体温が上昇した
なっ!
あたしはエロくなんかなぁ―い!!
口から出そうになる言葉を必死に飲み込み、心の中でそう叫んだ