幼なじみなんてッ!〜近くて遠いアイ・ラブ・ユー〜



「なぁ―明日暇?」



「……あし…た…?」



必死に息を調えながら棗を見る



「……デートしねぇ?」



デート………?



「する!するっ!!」



「ははっ。そんな二回も言わなくても、聞こえてるって」



「っっ///」



「じゃあ明日10時にお前ん家、迎えに行くな。」



「えっ!ダメッ!!」



「は…?」



あっ……


「その、違くて…。あたし…待ち合わせしてみたくて……///」



「は?待ち合わせ?」



うぅ〜〜


言わなければよかった……


なんか恥ずかしいよ―…//



だって…憧れだったんだもん……



待ち合わせをして、デートをするのって……






「ふぅ―ん。わかった。なら、駅前集合な。」



「えっ!?いいの?」



「まぁ初デートだし。お前がそうしたいなら、俺はそれでいいよ。」




「…………」



「………んだよ……」



「なんか、棗が優しい……」



「はあ?」



「だって普段だったら、絶対そんなこと言わないじゃん」



こんな優しい棗、久々……

イヤ…初めてかも……



「彼女との初デートなんだから、当たり前だろ」



っっ///



「…遅れんなよ。」



「うんっ♪」



嬉しい♪棗とデート出来るなんて♪






そりゃ―今までも遊びに行くことはあったけど……



デートってそれとは別じゃん。




「なに?そんなに嬉しいの?」



「うんっ♪……っ…あっ//」


うわっ///



つい嬉しすぎて、素直にうなずいてしまった…///




「……やっぱり花音ってズルい……」



「えっ……んっ……」



優しく重なった唇




あたしはそのキスにゆっくり、目を閉じた
















そんな場面を、あの子に見られてるとも知らずに……















「おっし。」



服を適当に選び、家を出る



「あら、棗?今日はどこかに出かけるの?」



玄関を開けたと同時に、今起きたお袋が話しかけてきた


「あぁ―。ちょっと…」



「なに?デートかしら?」



ふふっと笑みを浮かべながる



「なっ…!何言ってんだよ。」


確信を付かれて、つい噛んでしまった




「あなた…もしかして彼女が……」



「とにかく俺、出かけるから。」




そう言って逃げるように外に出た



まだ両親には花音が彼女になったとは話していない……



イヤ…わざわざ話すのも何か恥ずくねぇ―…?




まぁ、そのうち話すからいいだろ。






外に出てすぐに隣の家を見る



花音はまだっぽいな……



ってか、ここで鉢合わせしたらダセェし、こんな早く出掛けようとしてるのか……



つ―か雨降りそうだな…



傘持ってくるべきだったか?



まぁ―でも、その時はどこかで雨宿りしていけばいっか……




俺は駅に向けて歩き始めた



思った以上に早くついたな……



駅の時計はまだ9時ちょっと過ぎを指していた




………さすがに早すぎた…



逆にダセッ……



「あれ―っ?棗先輩?」



後ろから聞こえた甲高い声




イヤな予感……






「神谷……」



イヤな予感、的中……



「先輩、こんなところで何してるんですか〜」



甘ったるい声




俺…こういう奴、スッゴク苦手なんだけど……



なんか1ヶ月ぐらい前から、以上に付きまとってくるようになった




正直ウザい……




「待ち合わせ。」


「えぇ〜誰と――?」



ピタッと腕を絡めてくる神谷



引っ付くなって―の!!


ついでに胸をわざと当ててくるなっ!!



「彼女だよッ。」



腕をほどいて神谷と距離を置いた



「彼女って、花音先輩ですか〜?」


「そうだけど。何?」



マジ、ウザいから。






「え〜。そんな人、シカトしてあたしとデートしましょうよ―っ。」



「は?」



こいつ、頭大丈夫か?



「あり得ないから。ってかそろそろ彼女くるから。」



「花音先輩って確かに可愛いですけど、顔だけじゃないですかぁ〜」



「……は?」




「男に見境無いっていうかぁ〜…」



「………あのさ」



「はい♪?」



「ウザい」



「………えっ」



顔を一瞬にしてしかめた


「彼女の悪口言われて、イイ気持ちする彼氏なんていねぇだろ?」






「っっ」



はぁぁ―……



「花音がそんな奴じゃないってことは、俺が一番よく分かってるから。んじゃあな。」


マジふざけんなよ…


気分最悪……




「ちょっ…ちょっと待ってくださ―いっ!!」



まだついてくる気かよっ!!



腕を握ってくる神谷



「だから!ウザいって!!」


掴んできた腕を振り払った



「キャァっ!!」



その反動で後ろに倒れる神谷



「痛ぃ――」



はっ?そんな強く振り払ったつもりねぇんだけど……



「痛ぃ―。足挫いた――」




………たくっ…。



「どこ挫いたわけ。」



ここで行かないわけにはいけねぇよな……






「足首痛ぃですぅ―」



そう言って腕にギュッと抱きついてくる



はあぁ―…



さっきの手前、また押し返すわけにわいかないしなぁ―…



「改札口まで送るから。」



「改札口までですかぁ?」



は?何がいいたいわけ?



「今日、実家に帰ろうと思ってたんですよ〜。あたし、独り暮らしだから〜。そこが駅から遠くて〜。」



つまり……



「足挫いたのに、1人で帰れませ〜ん」



送っていけって言ってるわけ……?




「わかった…。場所どこ?」


「ここです〜」



手帳に書いてある、自分の家の住所を見せてきた



「こっ…ここって!隣の県じゃんか!!」



「はいっ♪」




マジかよ………



こいつ、県外受験者なのかよ……


今から行って、帰ってくるの確実に夕方だろ……



でもケガをさせたのは少なくとも俺の責任でもあるわけだし……



「先輩〜。電車来ちゃいます〜」



「あっ、あぁ!!」