【伝説の開始ー10】


「確かお前さん
やらなきゃいけない
ことがあるって
前に言ったが、

それはどうするんだ?

ワシには
それが何かは知らんが」



「刑務所から
出所してからでもいい、
考えてみたら
罪を犯したんだ。

ちゃんと償ってから
アレをやるよ」



「それで、
出所して
やることってのは
なんだね?」



「ああ、それは………」



とそこへ、
大久保達が二階に
上がって来た。



「どうしたんですか
刑事さん!
何かあったのですか?」



「あ………いや……」



「特に何もないぜ。

この刑事さん
疲れでボケたんだと
思うよ」



と白井が
田崎の代わりに答えた。



「なんじゃ、
人騒がせが……」



荻原はそう言い、
一階に下りて行った。



「刑事さん
大丈夫ですか?

やはり
疲れているんじゃ…」



「……いや
ワシは大丈夫だよ。

さあ下に参りましょう」



田崎はそう言い、
一同は1階に戻った。



そして、
改めて周りを確認したが
川上の姿はなかった。



「川上さんの様子は
どうでした?」



田崎の質問に
大久保が答えた。



「いえ、
やはり小屋から
出たくないようです。

すぐ追い出されて
しまいましたよ」



「やはりそうでしたか…」



小川は相変わらず
浮かない顔で黙っている



おそらく、
この中では
一番ショックで
気が重いだろう。



「さて、
どうしたものか……」



そう田崎は言ったが、
実はあまり
深刻には考えなかった。



今一番考えているのは
白井のことであった。



まさか、
白井に気を使われる
とは……


本当に
もう見張らなくとも
大丈夫のようだな。



しかし、
アレとはなんだろう?



出所してする
アレとはなんなの
だろうか?