震える私を抱き締めてくれる佐和さん。


そして私達の横にはいつの間にか芽衣ちゃんと島田さんが立っていた。


「大丈夫だよ、紫衣。
私から話をしたんだけど納得してくれなかったんだ。」


頭を撫でながら話をしてくれる芽衣ちゃん。


今日、ファミレスで真衣ちゃん達に逢うのはずっと真衣ちゃんからの嫌がらせのメールが芽衣ちゃんに届いていた事をハッキリさせるためだったんだと話してくれた。


「紫衣が石野さんと新しく出発している姿を見たら真衣も納得してくれるかと思ったんだけどね。」


無理だったみたいだねって悲しそうな表情で話す芽衣ちゃんは真衣ちゃんに向かって足を進めた。

そして真衣ちゃんの正面に立つと大きく息を吸い込んで、


「勝手なこと言わないでよね!
紫衣から石田を奪ったのはアンタでしょ?
変な言い掛かりつけないでよ!
生憎紫衣は石田のことなんて忘れて素敵な人と出逢ったの。
石田が逢いにくることもこっちは迷惑なのよ!
アンタもね!
紫衣と石野さん見てたら石田が入る隙なんてないってわかるでしょ?!
もう二度と紫衣の前に姿を見せないで!」


大きな声で捲くし立てた。


そのままクルリと真衣ちゃんに背中を向けて私達に向かって歩いてくる芽衣ちゃん。


「あ~、スッキリした。」


晴れやかな表情のまま島田さんの腕に絡みついて、


「行こう!
バームクーヘン食べなきゃね。」


私と佐和さんに向かって声を掛ける。


「紫衣、行こう。」


私は佐和さんに肩を抱かれながら足を進めた。


振り返ると真衣ちゃんの姿はなかった。