佐和さんは私を咎めることは一度もない、それが私を苦しめてもいた。


「紫衣、今のままではいけない。
そんなにお前は弱かったのか?
そんな弱い人間だったのか?」


佐和さんとは違うお父さんの意見。


叱られて当然だと思う。

「私は甘えすぎているんです。
自分でもわかっています。
このままじゃいけないって…
佐和さんの優しさに甘えっぱなしだってこともわかっています。」


だから本音を口にして少し気分が晴れた。


いつも私を優先して包み込んでくれる優しい佐和さん。


彼に甘えてばかりではいけないんだね。


「石野さん、紫衣を助けてやって欲しい。
この子は弱い。
それは私が守りすぎたからだろう。
だが、君は紫衣を甘やかすだけでは終わらないだろう?
紫衣が気付いているんだ。
君に甘えてばかりではいけないと…。
君となら紫衣は紫衣らしく生きていけると確信したよ。」


とても寂しそうなお父さん。


「お父さん。
私はまだまだこれからもずっとお父さんに甘えたいって思ってる弱い娘なんだよ?」


お父さんの言葉に初めて素直な自分の言葉で応えることが出来た。


「わかっているよ。
紫衣は小さい頃から甘えん坊でお父さんとお母さんを困らせてきた娘だったからな。
でも大人になった紫衣を自分たちの手の中に閉じ込めてはいけないな。」

お父さんは私を見つめてから佐和さんに視線を向けた。