命に別状がないって知って芽衣ちゃんもホッとしたんだろうな。


「私もそう思うよ。
だけど入院なんて心配だよ。」


「だから今、向かってるんだろ?」


病院にって佐和さんは口にして立ち上がって私に手を差し伸べてくる。


「行こう。」


私の両親。


紫衣と私の両親が入院している。


「私は紫衣の分もお父さんとお母さんを大切にしなきゃいけないんだよね。」


佐和さんの手を取って話しかける私に、


「そういうこと!」


佐和さんもニッコリと笑いながら言葉を返してくれた。


そして車の中で今までの両親の話をたくさん教えてもらった。


ずっとずっと私を気に掛けてくれていたお父さんとお母さん。


記憶を失い傷ついているだろうと心配しながらも私を自由にさせてくれた。


それに芽衣ちゃんがずっと両親には連絡をしてくれていて、隠し撮りした写メやムービーで私の元気な姿を両親に送信してくれていたことも聞かされた。


「俺と一緒の写真も芽衣ちゃん送ったらしいんだ。」


ポツリと呟く佐和さん。

「お父さん、すっげぇ怒ってたらしい…。」


鼻の頭を指でさすりながら話す、その仕草に私は笑ってしまった。


佐和さんは困ったとき必ず鼻の頭を指でさするんだ。


「佐和さん、お父さんに怒られちゃうんですか?」


「怖すぎる…。」


私の冗談にも真顔で応える佐和さん。


緊張した佐和さんの表情がとても新鮮に感じた。