「紫衣のご両親は転生してまた紫衣の親として今もそばにいてくれてるよ。」


「今も?」


「そうだ。今は紫衣はご両親と離れて芽衣ちゃんと暮らしているだろう?」


「はい。」


「だけど家に帰ればちゃんと紫衣を待っていてくれる人がいるんじゃないのか?」


家に帰ると待っていてくれる人…。


「紫衣の…。
私と入れ替わった紫衣の両親?」


私の言葉に満足そうに頷く佐和さん。


「きっと寂しがっているよ。」


佐和さんの言葉に涙が零れた。


入れ替わったことで、それを悟られたくない気持ちだけで逃げるように一人暮らしをしたいと家を飛び出した。


芽衣ちゃんが一緒だからと家を出ることも承諾してくれた両親。


「連絡してないんだって?」


「はい。」


甘えちゃいけないんだって…。


紫衣を奪った私が本当の娘のように甘えちゃいけないってずっと思ってたんだ。


だから…。


「連絡は出来なかったんです。
私はあの人達から紫衣を奪ったんですから…。」

涙と一緒に気持ちを吐き出した。


「だから帰るんだ。
今からね。」