「長旅だから大丈夫!
俺、頑張るよ。」


大袈裟にガッツポーズを見せる佐和さん。


「本気ですか?!」


驚く私にニヤリと笑いかける。


「それくらいなんとかなるって!」


サラリと受け流す佐和さんに私は戸惑いを隠せなかった。


車のシートにも落ち着かずじっと座れなくなった私。


なんだか何かに追い立てられるように焦ってしまってゴソゴソと何をするわけでもないのに体を動かした。


落ち着かなきゃ!


落ち着け!


心の中で唱えるように繰り返す言葉。


「じゃ、そういうことだから出発しようか。」


なのに運転席に座る佐和さんは何事もなかったかのように落ち着いた声を掛けてきた。


そういうことってどういうこと?


それを聞く余裕さえ私にはなかった。