「ごめんなさい。」
佐和さんがどうして急に態度を変えたのかわからないけど、悲しくなって私の口からは謝罪の言葉が落ちた。
助手席のシートにキチンと座り正面を向いたまま外を見つめて、
だけど、悲しくてどうしようもなく不安で、鼻の奥にツンとした痛みを感じた私は涙が溢れそうになるのをぐっと堪えた。
「紫衣？」
溢れ出しそうな涙を堪える私に掛けられる佐和さんの優しい声。
その声に反応するように私の瞳から涙がポロポロと零れて頬を滑り落ちていく。
「謝るのは俺の方だ。」
肩を抱かれ佐和さんの胸に引き寄せられた瞬間に聞こえてきた彼の声に私の涙は止まるのを忘れたかのように流れ落ちた。
泣きじゃくる私の背中をトントンと優しくあやすように叩く佐和さんの掌。
泣ききるまで私は佐和さんの腕のぬくもりに包まれていた。
