携帯の画面を凝視する私の顔の近くまで顔を寄せて佐和さんものぞき込んでいる。


耳元で佐和さんの息遣いを感じるほどの距離に私の胸はドキドキと忙しく高鳴っていた。


「参ったな…。聞いていた話と全然違ってるじゃねぇか…。」


携帯の文書を全て読み終えた佐和さんは私から離れてシートにポスンと背中を預けてうなだれた。

なんだか考え込んでしまっている佐和さんに私も声が掛けづらくて黙り込んでいると、携帯の着信音の音が車の中に響いた。


「どうせ島田からだろ。」


不機嫌に言葉を落として携帯を開く佐和さん。


画面を見つめた佐和さんはすぐに閉じてしまって私には見せてくれなかった。


「島田さんからですか?」


「あぁ…。」


私の質問になぜだか頬を赤く染めた佐和さんが目を逸らしながら言葉を返す。


「佐和さん?」


その様子を不思議に思った私は彼の逸らされた顔に近づき声を掛けた。


「わっ…見るな!」


片手で顔を隠す佐和さん。

もう片方の手は私の肩に置かれて、私が佐和さんに近づけないように力が込められていた。



どうして?


どうしちゃったの?


私、もしかして佐和さんに嫌われちゃったのかな?