『お待たせしました』

着替えを済ませた二宮先

生はコーヒーを三つお盆

に乗せて入ってきた。

「あっ、お気遣いなく」

遠慮して小さくなってい

る俺を尻目に編集長は自

分の家みたいにくつろい

で、出て来たコーヒーを

飲んでいる。

『あなたも入社そうそう

災難ですね』

二宮先生が心底同情する

ように言った。

「あの、何か…?」

『みんなから聞いてない

?俺変わり者だから苦労

するかもしれませんよ』

先輩社員と同じことをま

さか本人の口から聞くこ

とになろうとは思わなか

った。