翔Side

もし僕があの日少し違う

未来を選んだとしたら―

昔聞いた曲でそういうの

があったなぁなんて思い

ながら車窓の外を流れて

いく景色を見送る。

『もうすぐ着くから』

「あ、はい」

隣で楽しそうに運転して

いる編集長が話しかけて

きた。

「長かったでしょ?俺に

遠慮しないで寝てて良か

ったのに」

『いえ、仕事ですから』

「翔くんは真面目だね。

ま、そこがいいところな

んだけど」

とても、眠れるような運

転じゃないし。

心の中でだけ呟いた言葉

は編集長に届かない。

さっきから何回も