「美樹、ごめんなさい。謝って済まないのはわかってる、けど…美樹が心配だったの。」
『何よ、いまさらっ』
「今更なのは分かってる…だけど…美樹が大好きだから傷付いてほしくなかったの。」
結局、傷付けてしまったけど…
それでも私は美樹が大好きだから恨むとか妬むとか、そんなの悲しすぎる。
「ごめんね…美樹を傷付けちゃってごめんね?」
『……アンタは…なんでいつもそうなの!いつもいつもっ、何があったって私や友達を気遣って…自分は二の次なんだから!』
「うん、ごめんね。」
『………今度、ランチ奢ってくれたら赦すから。』
鼻声の美樹の言葉に嬉しくて涙が零れた。
五年前のあの事件はきっと忘れられないけれど、それでも私も美樹も昔みたいに戻れるから。
だから、いつだってランチを一緒に食べようね?
「みき…ごめんね、ありがと…わたし、償うから」
『もうっ…奏多は黙って拓海さんと幸せになりなさいよ!あんたが幸せになるのが私への償いよ!』
人懐っこくて、不器用な大切な親友。
私にはわかるよ?これが美樹の精一杯の祝福の言葉なんだよね。
ずっと五年間感じていた胸の蟠りがやっと少しだけ解れた気がした。
『ちょっと拓海さんに変わってくれる?』
「ん、美樹…大好き!」
『………………私も、奏多が大好きだよ。』
これで良い。
少しずつ元に戻していけばいい。
枯れた苗だってお水をあげて、正しい処方箋通りに育ててあげればいつか綺麗な花が咲くんだから。
私の隣には愛しい貴方。
携帯電話を耳に当てて、苦笑いをしながらも優しく目尻が下がっている。