「…いや、さっきの君があまりにも可愛くて……夢中になりすぎたんだ。」
「…た、拓海さ…」
真面目な顔で恥ずかしげもなく紡がれた言葉にありえないくらいに顔がほてる。
喜んでいいのか、恥ずかしがるべきなのかわからずに眉を下げればまた苦笑が返ってくる。
「うん、…いや、あー、……ごめん、あまりにも夢中になりすぎて…避妊できなかった。」
「………………は?」
別れるとかじゃないとは言ってはいたけど、やっぱり不安だった私は拓海さんの言葉にたっぷり時間をかけ、これでもかって位に眉を寄せてしまった。
「ごめん…」
「え…いや…んー、と………ひ、にん?」
「うん、ごめん。俺は良いけど君は困るよな…、」
確かに、確かに妊娠すれば困るかもしれない。
でも…別れるって言われなかった事に有り得ないくらいにホッとしていたの。
別れる事に比べたら、妊娠してもいいんじゃないかって。貴方の子供ならほしいとすら思ってしまう卑怯な私だっているんだから。
「奏多?」
「……え、あ…ごめんなさい、」
「いや、謝るのは俺だよ。でも中途半端な気持ちじゃないから。それだけはわかってほしい」
貴方にそんな表情で、そんな瞳で見られたら私は当たり前のように何も言えなくなる。
どこまでも大人で、どこまでもズルイ人なんだから。
「ごめんな。」
「ううん、あのね?」
少しだけ、言っても良い?
私の今の気持ちを貴方に伝えたい