深い森の中、息を切らして走り続ける銀髪の少女がいた。

「チッ……」


その少女は俗に鬼狼と呼ばれる、名前のとおり狼に鬼が乗り移った獣に狙われて、逃げていた。

しかし、少女に鬼狼ほどの駿足はなく、体力も限界に近付いている


「……ッ!!」

その時、木の根に足を取られつまづいた少女は受け身は辛うじて取ったものの、足をひねり走れる状態ではなくなってしまった。