やっと…やっとね…
こうしてこの世界に現れることが出来た…
何百年ぶりかしら?
もう私のことを憶(おぼ)えている者なんていないでしょうね
せいぜい伝説か童話の中でしか語られていないでしょう
 
まあそんなこと関係ないわ
私はこうして形を成すことが出来た
あなたのためよ
あなたのために私は何百年も闇を漂い
薄れそうになる自我を保ち続けた
 
闇の流れは強かったわ
何度も押し流されそうになった
けれど流されたらそこで終わり
私は二度と浮上することは出来なくなる
 
けれど私は闇を支配した
私の子宮から闇は生まれるの
どろりとした闇が流れてくるわ
私の胎内(なか)から
 
そのまま引き裂いてみせて
怖いくらい感じるわ
あなたの中の激しい衝動…感情を
 
それは恐怖?
それとも苦痛?
やっぱり無理なのかしら? 
 
感じるわ
あなたの感情が感情でなくなる領域を
 
もう少しなのね
私は待ってるわ
あなたの時が満ちたとき、私を探して…