「うん、ひーちゃん大好き!幸いひーちゃんは友達少ないし彼女もいないし独り占めだよ。」
「姫村さんに恋人がいたら嫉妬されそう。デートは今のところ広川さんの特権ってわけね。」

全員の用意ができたところで手を合わせる。

ほのかな甘みがやさしく口に広がった。

隣で陽光がもだえている。

「おいしい!口溶けが早くて惜しいくらいだ!」

ここ一年の付き合いで、彼もそうとうスイーツ好きになったらしい。

今では僕が連れ回される側だ。

「そうだ、今度みんなで食べに行こうよ。おすすめのお店、教えてもらいたいな。」

僕的一石二鳥のアイディアを嬉々として発表してみたが、女の子二人は困惑顔だ。

傷つく。

「すごく、すごくすごくご一緒したいのですが…お姉さま方が…」

お姉さま?僕の姉は京都にいるけれど、何の関係が?

「姫村さんのお取り巻きの上級生に何を言われるか、怖いわ。」
「取り巻きなんていないから、安心して。」

僕はどこの芸能人だ。

と思ったら陽光に頭を叩かれた。

「ひーちゃん自分のことわかってなさ過ぎ!鈍いとは思ってたけど、あの子たちがかわいそうなくらい鈍いんだから!」

陽光に肩をガクガクと揺さぶられて世界が回る。

あの子たちって、誰?