春はいい天気が続く。少し風はあるけれど過ごしやすい。

というわけで、屋上の会は連日開かれた。

僕らはデカフェのカフェオレを用意して、彼女たちはお茶請けを持ってきてくれる。

自然とできた決まりだ。

「今日は街まで出かけたので、おやつもリッチなのですよ。なんと、“maple syrup ”のシフォンケーキです!」

堂々と開けられたバスケットからメイプルシロップの甘い香りが漂ってきた。

「わ、いい香り。おいしそう。“maple syrup”ってよく聞くよね。イートインのパンケーキが有名なお店だったかな。」
「正解!姫村さんてばスイーツにも詳しいんだ。」

宮藤が取り分け、木下が生クリームを盛り付けていく。

木下の盛り付けは豪快かつ芸術的だ。

「ひーちゃんはスイーツ好きなんだよ。かわいいでしょ。よく二人でスイーツめぐりとか、カフェデートするんだ。」
「お二人でですか?目立ってしまいそうですね。」
「ひーちゃんは気にならないんだよね?鈍いから。俺は一年で慣れたよ。」

そうそう、スイーツショップとかカフェに男だけで行くのは勇気がいると聞くけど、なぜ?

「嬉しそう。広川さんは姫村さんのこと大好きなのですね。」

微笑ましげに陽光を見る宮藤がまぶしい。

天使の微笑みに匹敵する。