図書館でのことを陽光に話すと、僕にしては随分と大胆なことをしたと驚いていた。

それからニヤついた顔で褒めてくれて、寮のカフェテリアで僕の大好きな苺のショートケーキを買ってきてくれた。

その夜はよく晴れていたから、屋上で小さなお茶会となった。

「夜はまだ少し寒いね。ブランケット持ってきてよかった。」
「早くあったかくなんないかな。俺夏が一番好き。」

陽光は階段に丸めて置いてあるラグを引きずり出しながら体を震わせた。

「夏になったら制服も爽やかだしさ、女子がかわいい季節だよね。」
「そうだね。色が黒だから衣替えするとスッキリしていいよね。」
「あ、ひーちゃん今想像したでしょ、宮藤の夏服姿。」

意地の悪い笑みを浮かべて僕に体をぶつける陽密に、呆れた態度を見せた。

図星だって気づかれると例の引出しに入れられてしまう。

僕の態度がつまらなかったのか、文句をいいながらラグを広げて、魔法瓶に入ったカフェオレの催促をはじめた。

僕は彼の子どもっぽさを時にかわいいと思う。

体の中が温まってきたころ、慎重に鍵を回す音が耳に届いた。

陽光と視線が交わり、息をのんで扉が開くのを見守った。

心臓の音が静寂に響き渡った。

ドアノブが少しずつ回って、細く細く隙間ができた。