いつから、この美しい鍵と美しい眺めは受け継がれているのだろうか。
そして、受け継いできた人たちはどんな思いで、どんな時間を過ごしてきたのだろうか。
一人で屋上へ行くと、そのことばかりが頭に浮かんだ。
僕のような人も中にはいただろうか。
暗く静かな夜は、独り取り残されてしまったような錯覚をおこして急に悲しくなる。
でも、その悲しさが愛しくもあった。
胸の痛みは僕の存在を保証してくれるから。
やがて信頼をするようになった陽光に打ち明けてからは、ほぼ毎日のように出かけた。
天気のよい日には天体望遠鏡を持って星を見た。
学園は街を離れた高台に建っているので、割りとよく見える。
星を見ていると安心する。
自分はちっぽけで、悩みや苦しみは宇宙に何も影響しないことを確認できるから。
楽観的になれる気がする。