「馬鹿ぢゃないの?」
由美が半ば呆れたように、溜め息を吐いた。
私は、ハガキに切々と思いを綴っていた手を止める。
馬鹿…?
「ばかってなによっ!?私は本気で悩んでいるのに!!」
目に涙が溜まる。
「だからって“MUSICjp”にハガキ出すことないでしょ」
「だってぇー…あのDJの人、解決してくれそうなんだもん」
MUSICjpとは人気のラジオ番組。恋の悩みなどのハガキを送ると、DJの人がアドバイスをくれて、応援のメッセージのかわりにDJ自ら選んだ曲を流してくれる。
その選曲のセンスと、DJの甘いマスクに女も男もメロメロなんだ。
「まぁ面白いから送れば?」
「読んでくれるかな…?」
少し不安になる…
「さぁね、阿呆な悩みすぎて捨てられるかもよ」
「っなんで、由美は意地悪ばっか言うの!?」
「だって春、面白いんだもん」
由美は私の頬をつねる。女王様由美…こうやっていつも弄られています…