いくら目を閉じても意識ははっきりしたままで、まったく眠くならない。
早く寝てしまいたいのに。
「梓……」
耳元でヨシが囁いた。
ヨシも眠れないのだろうか。
「なに?」
振り返らずに答えた。
ヨシからの返答はなく、言葉の変わりに後ろから強く抱き締められた。
「ちょっと、ヨシ?」
やめて。
翔がいるの。
前に回された手が、滑るように服の中に侵入する。
いや!
「ほんとやめてっ」
何とか腕を払い、体の向きを変えてヨシと正面から向き合った。
密着している体が、冬だというのに熱くなる。
「嫌なの?」
「当たり前でしょ?」
翔がいるのに、ヨシはどうかしている。
ヨシは怒ったように眉を吊り上げ、無理矢理押さえつけるようにあたしの唇を奪う。
「やめ……」
力いっぱい肩を押してみたけど、男の力には勝てない。