あたしの予想は的中したようで、翔は鍋の管理を早苗に任せると、不機嫌そうにキッチンを出て行った。
それと同時に、早苗の顔から笑顔が消えた。
「大丈夫か?」
口を開いたのはヨシ。
何が大丈夫なのか、あたしにはさっぱりわからない。
「振られたあとは、やっぱりキツいな」
振られた……あと?
早苗は翔が好きなの?
ヨシはただ頷いているだけ。でも早苗が翔に告白をしたことを知っているようだ。
あたしだけが何も知らなくて、今日のパーティーを楽しみにしていた。
それがとても恥ずかしいことのように思えて、立ちのぼる湯気のように消えてしまいたいと思った。