「みんな、メリクリー」

さっきとは一変して、早苗の明るい声が部屋に響き渡った。

なんだ。元気がないのは気のせいだったのか。

「翔!メリクリ~」

今度は翔にだけ笑顔を向ける早苗。

「お、おう」

鍋の前に立ちながら、翔は小さく返事を返す。


ここにきてはじめて、2人に何かがあったのではないかと思った。

翔の表情。翔の態度。

何年間も翔を見てきたんだ。小さな変化にも気がつけるようになっている。