キッチンで早速料理を開始する。
料理と言っても野菜はすでに切っておいたから、鍋に入れるだけだ。
「野菜を入れるのは翔の仕事ね。煮えにくいのから入れるように」
そう言って菜箸を手渡すと、面倒くさそうに翔はそれを受け取った。
さてと。
翔から時計に視線を移すと、丁度よくチャイムが鳴った。
きっと早苗だ。
玄関に迎えに行くと、いつもより少し元気のない早苗が立っていた。
「待ってたよー!どうぞ」
玄関に揃えられた男物の靴をとらえ、早苗は小さく「もう翔は来てるんだね」と言った。
鈍感なあたしは、翔と早苗の間に何かがあったなんて思いもしなくて、これからはじまるクリスマスパーティーに心が浮かれていた。