「お帰り。寒かったでしょ」

2人は「うんうん」と首を縦に動かしている。

言葉にならないくらい寒かったようだ。

翔は玄関に飾られた小さなクリスマスツリーを見ながら、嬉しそうに笑っている。

飾って良かったと、素直にそう思った。

荷物を持ちながら寒さで頬を赤く染めるヨシの顔を両手で包んでみる。

「冷たいね」

ヨシはにこりと笑った。

今なら、翔にも同じことができる。

ここで翔に触れることはおかしいことなのかな?

大丈夫。友達だもん。
幼なじみだもんね。


あたしはゆっくりと翔の前に立ち、冷たくなった頬に触れた。


「翔も冷たーい」


触れた手のひらが一気に上昇した。

胸がうるさいくらいに音をたてる。

触れてすぐに後悔した。

もっと触れたい。

そんな感情が芽生えた自分に吐き気がした。


翔を見ることができなくて、床に視線を落としてしまった。