思いつきで言ったクリスマスパーティーが実現されることになった。
まさか翔が承諾するとは思わなかった。
4人で過ごすクリスマスイヴ。楽しみだけど、翔がいると思うだけでドキドキしてしまう。
夕暮れの帰り道、隣を歩くヨシが不満そうにぼやいた。
「初めてのクリスマス、本音を言えば2人が良かったな」
あたしは言葉に詰まってしまった。
こういう場合の模範解答は「あたしも」だよね。
そう言わなきゃいけない。
ヨシを不安にさせちゃいけないの。
わかっているけど、自分に嘘をつくみたいで喉がカラカラに乾いていく。
繋いでいる手の指先が、緊張からか冷えていく。
ヨシは一端足を止めると、あたしの肩を優しく掴み自分のほうに向けた。
「梓、まだ翔が好きなの?」
真っ直ぐ見つめられた鋭い視線。
胸が締め付けられる。