翔。
ずっと大好きだったんだよ。
すごく。すごく。
「梓……泣かないで」
ヨシがそっと歩み寄る。
「ごめんね。何で泣いてるのかわかんないや」
わざとおどけて見せたけど、きっとヨシには全部お見通し。
これ以上泣き顔を見られたくなくて、ヨシに背中を向けてコンクリートの壁と対面する。
「翔っ……」
友達としてでも、傍にいたかった。
あたしのことを女の子として見てくれなくても構わなかった。
だけど、
それさえ許してもらえないんだね。
「俺がいるよ」
泣き止まないあたしの体を、後ろからヨシが抱きしめる。
「俺じゃダメなの?」
あたしはただ、だらりと下げた腕を
動かすことさえできなかった。