一瞬息ができなくなった。

必死に隠してきたつもりだったのに、ヨシに知られていた。

握りしめた手のひらに、じんわりと汗が滲む。

「ずっと梓をみてきたから、そんなことわかるよ」

悲しそうな苦笑いを浮かべるヨシ。

それからヨシは続けてこう言った。

「翔は、梓のこと何とも思ってないよ」

グサリと心に突き刺さる一言。

体中が心臓になったみたいに、心音が耳に響く。

「翔が、そう言ったの?」

声が震える。

きっとあたし、泣きそうな顔してる。

「梓がいると彼女ができないし、好きな子に誤解されるから迷惑だって言ってた」

“好きな子に誤解されるから迷惑”


そっか。
そうだよね。

「あはは。やだ!あたし、翔のことなんて全然好きじゃないのに」

あたしは笑っていた。


それなのに、どうしてだろう。

涙が止まらないよ。