部屋の前にうずくまる俺の前に、息を切らした早苗が現れたのはそれからすぐのことだ。

「翔、大丈夫?」

左手に握られているペットボトル。

早苗は蓋に手をかけキャップを外すと、俺の口元にそれを近づけた。

酔っていたから。

それはただの言い訳にしか過ぎないことくらい、こんな俺でもわかっているさ。

だけど

もう、どうしていいのかわからなかったんだ。

梓はヨシが好きで。

ヨシは俺の親友で。

叶わない。
どんなに思ったって、この思いは一方通行なんだ。

辛いんだよ。
苦しいんだよ。